パーム油とココナッツオイルの違いとは

パーム油とココナッツオイル

一見同じものだと思われがちなパーム油とココナッツオイル(ヤシ油)。
全く別物だということを知っていますか?
体に悪いだけでなく、環境問題にも関係しているパーム油。
日本では一人当たり年間約5kgのパーム油が消費されているのだとか。
今回は、パーム油とココナッツオイルの違いをご紹介いたします!

パーム油とココナッツオイルの違いとは?

パーム油とココナッツオイルはどちらも「ヤシ油」だと間違われることが多いですが、異なる樹種です。
パーム油の原料は、アブラヤシ主成分は飽和脂肪酸(パルミチン酸)とオレイン酸(不飽和脂肪酸)が共に40%
ココナッツオイルの原料は、ココヤシ主成分は飽和脂肪酸(ラウリン酸)が92%
どちらも同じヤシ科の植物ですが、異なる植物であり構成している成分も全く違います。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とは?でも触れましたが、不飽和脂肪酸は酸化しやすい油です。
また、パーム油は製造時に脱色剤や高圧蒸気による加熱や加圧処理がなされているため、栄養素は壊れ、更に水素添加などの処理もしているので、トランス脂肪酸も生まれてしまいます

トランス脂肪酸は、血中の悪玉コレステロールを上昇させ、動脈硬化や心臓疾患のリスクを高める可能性があると言われています。

ココヤシの木はココナッツオイルを搾油した後は、燃料、容器、スパチュラ、ボタン、ドアマット、マットレス、ロープなどに加工されるので、余すことなく使うことができますが、アブラヤシはパーム油を搾油した後は、廃棄物して排出されているので、環境問題にもなっています。
世界的なパーム油の生産地であるマレーシアでは、発電や熱などのエネルギー供給に再利用したり、高タンパク質動物飼料にしたりと、環境問題に取り組むプロジェクトが進行していますが、パーム油を生産している土地や製造工程ですでに大量の二酸化炭素を排出しています。
パーム油の生産が減れば、二酸化炭素の排出も減らせますし、廃棄物の問題も考えなくていいのではないでしょうか…。

パーム油の搾油方法

パーム油の生産量が最も多いのがインドネシア、次にマレーシアで、総生産量の約80%を占めています。

ココナッツオイルは、ヤシの実から搾油されますが、(ココナッツオイルの抽出方法についてはこちら
パーム油を作るためには、農園内でアブラヤシの果房を収穫します。
30kgほどある果房一つ一つに数100~約2,000個もの果実がついていて、その果肉から搾油されます。

アブラヤシは成長すると20m以上に成長し、実は先端付近にできるので長いカマを持って一つずつ切り落としていきます。
取った実を滅菌消毒するため、熱や圧をかけて処理します。
その実を潰して油をしぼります。
搾りたてはオレンジ色をしていますが、精製度を高くするために、脱色剤が使用されたり、水素添加処理などがされます

パーム油の危険性

パーム油は、ココナッツオイルと比べると安価であることバターに似た風味が出ることクリーミーなテクスチャーであることから、パン、クッキー、ケーキ、チョコレート、アイスクリームなどのお菓子などに多く使われています。
他にも、調理用油、マーガリン、ショートニング、石鹸やボディクリームなどの化粧品の一部の原料にも使われています。

しかし、先ほど説明したようにパーム油は高温で加熱し滅菌消毒されます。
この過程で脂肪酸エステルが発生する可能性があり、これはガンを引き起こす原因だと考えられています。
医療専門家によれば、高レベルの飽和脂肪酸は血管石灰化や糖尿病のリスクを高める可能性があるとも言っています。

食品の成分表示を見ると、パーム油と表記されていなくても、植物性脂肪、セテアリル/セチル、ラウリル/ラウロイル/ラウレート、ステアリル/ステアレートなどと一目見るだけではパーム油と分からないことがあります。

パーム油による問題とは?

パーム油は世界の最も重要な植物油で、全世界の消費量の3分の1を占めています。
やはり値段が安いことが消費量に比例しているのでしょう。

パーム油農園は世界中で1,200万ヘクタールを占めています。
そんなアブラヤシは、赤道直下の熱帯地方でのみしか育ちません。
つまり、栽培量を増やすためには、熱帯雨林の伐採をしなければならないのです。
木が無くなれば二酸化炭素を酸素にしてくれる(光合成)植物がありません。
熱帯雨林が破壊されると、1ヘクタールあたりで最大6,000トンにも上る二酸化炭素が排出されると言います。
益々、温暖化が騒がれることとなるでしょう。

また、そこに生息している動物にも影響を与えます。
熱帯雨林に生息しているオランウータン、ボルネオピグミーゾウ、スマトラ虎のような絶滅危惧種の数も森林伐採とともに減ってしまいます。
今後、パーム油が増え続けることは絶滅危惧種が絶滅種になってしまうということ。

他にも、その地域に住んでいる人々も伐採のために追い出されています。
抵抗すれば脅され、最悪の場合、逮捕されてしまうなんてこともあります。

パーム油のために、森林伐採が起こり、そこに住む動物や人が悲しい結末を迎えてしまうのです。

加工品ではなく生鮮食品の選択、ラベルのチェック、パーム油の入っているものを使わず、体に良い油をを選ぶことが、体にも環境にも優しいということを頭に入れておけば、買い物する時の意識も変わりそうですね。
パーム油を含まない製品には、分かりやすくシール表示しているものもあります。

このシールを見つけることが楽しみになるといいですね。

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