オイルが人間の体に及ぼす影響とは

オイルと人間の体

料理をする際に何気なく使っているオイル。
健康のためにとオイルをそのまま飲んでいる方も。
人間の体にオイルはどんな効果があるのか知っていますか?
今回はそんなオイルについてご紹介いたします!

オイルが必要な理由とは?

人間の体は、約60兆~100兆個もの細胞で作られています。
毎日約15兆個の細胞が死に、新しい細胞が生まれていますが、この細胞にはオイルが必要です。
細胞には細胞膜と言われるオイルで組成される膜が存在し、その細胞膜はリン脂質と呼ばれる複合脂質成分によって作られています。
そして、リン脂質の間を埋めるのがコレステロールです。
このように私たちにオイルは必要不可欠なものなのです。

オイルの種類とは?

オイルには、動物油、植物油、鉱物油の3種類があります。
また、オイルは脂肪酸と脂質に分けられます。
動物性のものは飽和脂肪酸と言い、一部の例外を除いて植物性のものは不飽和脂肪酸、鉱物油は工業油のことを指します。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とは?

飽和脂肪酸:常温で固まった状態の動物性の脂肪分のこと。
炭素と水素がしっかり規則正しく結合されているため、酸素が入ってくる隙間がありません。
そのため、酸化しにくいですが、消化されにくく、血管内で固まりやすく、心臓血管系にリスクがあります
ココナッツオイルは植物オイルの中でも数少ない飽和脂肪酸に入ります。
種子にあたる核果の胚乳から搾油されるオイルには、動物性油脂に代表される飽和脂肪酸が50%以上も含まれているからです。

少しずれますが、よく聞くトランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一つに分類される脂肪酸で、オイルを精製したり加工したり、加熱されることで、トランス脂肪酸という化学油になってしまいます。
スーパーでよく見かけるマーガリンがそうです。
本来固まるはずのない植物油を人工的に固まらせて作ったマーガリンは、トランス脂肪酸の代表的なものです。
マーガリン=化学油。
つまり植物性にも動物性にも属さない鉱物油、プラスチックと同じだと考えていいでしょう。
トランス脂肪酸は、心臓病や糖尿病やがんの発症リスクを高め、脳梗塞や脳卒中などの原因になります。
子どもの脳の発育や、高齢者の認知症にも影響していると言われています。
アメリカでは2018年6月までに、トランス脂肪酸を全廃すると発表しています。
日本経済新聞 米、トランス脂肪酸の食品添加禁止 18年6月から
日本でも規制する必要があると思いますが、いつになるのでしょうか…。

不飽和脂肪酸:常温下でサラサラしている植物性の油のこと。
炭素と水素が不規則な状態であるため、隙間がありサラサラしています。
隙間があるということは、酸素が入ってきてしまうということです。
そのため酸化しやすいですが、細胞膜の材料として使われ、体に蓄積されにくい特徴を持ちます。
血液中の余分な中性脂肪を減らし、血栓を防ぐ機能もあります。
一般的にオメガ3オメガ6オメガ9と呼ばれる油がこれにあたります。
不飽和脂肪酸の中には、必須脂肪酸と呼ばれる体内で合成できず食事で摂取しなければならない油があります。
それがオメガ3、オメガ6の油です。
オメガ3:亜麻仁油、シソ油、エゴマ油など
オメガ6:菜種油、ごま油、大豆油、ひまわり油、コーン油など

オメガ9もよく耳にしますが、これは体内でも合成できるため、特に無理して食べなくても問題ありません。
オメガ9:オリーブオイル、グレープシードオイル、キャノーラ油など

オメガ3、オメガ6の油とは?

オメガ3はα-リノレン酸を主成分とし、オメガ6はリノール酸を主成分とします。
近年、リノール酸の過剰摂取について、コレステロールを減少させることができないどころか、活性酸素を生成し、アレルギー体質を作る原因になり、更には生活習慣病の誘発、心臓病や動脈硬化、脳卒中や発がんを助長させると発表されました。
体に良い油なのに何故かと疑問を持つ方が多いと思いますが、理由はα-リノレン酸とリノール酸のバランスの良い摂り方ができていないからなのです。
α-リノレン酸はリノール酸を大量摂取したことで発生する炎症系のプロセスを抑制します。
つまり、オメガ3とオメガ6は互いに不足する性質を補う関係です。
摂取の目安としては、リノール酸2~3に対して、α-リノレン酸1です。

摂取の仕方にも気を付けなければなりません。
オメガ6の油はほとんどが加熱して摂取していると思います。
先ほども述べましたが、不飽和脂肪酸は酸化しやすいもの。
加熱すれば酸化してしまうことは想像できますね。
しかも、量産されているオメガ6の油は有機溶媒を用いて高温環境下で生成されていることから、栄養価が失われていて、既に酸化している可能性が十分にあり得ます。
油を加熱する以前の問題です。
逆にオメガ3の油は加熱しないよう摂取することが勧められているので、加熱による酸化は考えられません。

オイルを選ぶ時には、化学処理されていない、なるべく自然に近いものを選ぶようにしましょう。

オイルの働きとは?

オイルの働きとして、2つあります。

エネルギー代謝
口から摂取することで、体内でエネルギーに代謝され、脂質は消化器によって脂肪酸に分解されます。
脂肪酸は血液により、全身の細胞に運ばれ、エネルギーとして代謝されます。
具体的にいくつか例を挙げてみます。

脳:脳の構成成分の約60%は脂質です。
脳が活発に動くためには、神経細胞がきちんと働く必要があります。
オイルは脳のサポートをしています。

心臓、血管:血液が全身に巡っているのは動脈のおかげですが、その動脈が健康に働くためには脂質が必要です。
また、血管壁をサビたり、破裂させないようにするのも、脂質の働きです。

目:目の表面の角質を作っているのは、ワックスエステという脂質です。
目を守るための涙は、油層、水層、ムチン層の3層で構成されていて、油層の中のマイボーム腺は脂質を分泌、涙を作っています。

ホルモン:脂質は、代謝の活性をコントロールするホルモンとしても働きます。
オイルはホルモンバランスを整えてくれます。

バリア保護
経皮吸収により、皮膚バリアが強化され、健やかで美しい状態にします。

皮膚:皮膚のバリア保護しているのが皮脂です。
皮脂の分泌がきちんと行われることで、肌トラブルが起きづらくなります。

生命を維持するために必要なオイル。
わざわざ体に悪いオイルを摂取するのではなく、信頼できるものを、効率よく摂取できるといいですね。

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